2025.06.23
子どもの勉強意欲を引き出す「褒め方」の極意:結果より過程を大切にしよう
子どもの勉強に対するやる気を引き出したいと思うのは、すべての保護者の願いです。しかし、ただ「頑張ったね」「偉いね」と褒めるだけでは、本当の意味での学習意欲は育ちません。今回は、心理学的な根拠に基づいた効果的な褒め方のコツをご紹介します。
なぜ「褒め方」が重要なのか
子どもの脳は大人以上に「認められたい」という欲求が強く、適切な褒め方は学習への内発的動機を高めます。一方で、間違った褒め方は逆効果になることも。子どもが本当に成長できる褒め方を身につけましょう。
効果的な褒め方の5つのポイント
1. 結果ではなく「過程」を褒める
× 良くない例:「100点取って偉いね!」
○ 良い例:「最後まで諦めずに問題を解こうとしていたね」
点数や順位などの結果だけを褒めると、子どもは「良い結果を出さなければ認められない」と思い込んでしまいます。努力の過程や取り組む姿勢を褒めることで、失敗を恐れずチャレンジする気持ちを育てることができます。
2. 具体的な行動を褒める
× 良くない例:「よく頑張ったね」
○ 良い例:「分からない漢字を辞書で調べて覚えようとしたのが素晴らしいね」
抽象的な褒め言葉では、子どもは何が良かったのか理解できません。具体的な行動を指摘することで、その行動を繰り返そうとする意欲が生まれます。
3. 子ども自身の成長に焦点を当てる
× 良くない例:「○○君より良い点数だったね」
○ 良い例:「先月よりも計算が速くなったね」
他の子どもとの比較ではなく、その子自身の過去と比べて成長した点を褒めましょう。これにより、競争ではなく自分なりの成長を大切にする姿勢が育ちます。
4. 即座に褒める
子どもが良い行動を取った時は、できるだけその場で褒めることが大切です。時間が経ってから褒められても、子どもはどの行動が良かったのか分からなくなってしまいます。
5. 非言語的な褒め方も活用する
言葉だけでなく、笑顔、ハイタッチ、頭を撫でるなどの身体的な表現も効果的です。特に小さな子どもには、温かいスキンシップと共に褒めることで、より深い安心感と達成感を与えることができます。
年齢別・褒め方のコツ
小学校低学年(6-8歳)
- 短時間の集中でも大いに褒める
- 「お母さん/お父さんも嬉しいよ」と感情を共有する
- 勉強道具を片付けたなど、学習に関連する行動も褒める
小学校高学年(9-12歳)
- 自分なりの工夫や改善点を見つけて褒める
- 「どうやって解決したの?」と過程に興味を示す
- 困難に立ち向かう姿勢を評価する
中学生(13-15歳)
- 自主性や責任感を褒める
- 結果が出なくても努力を認める言葉をかける
- 将来の目標と関連づけて褒める
避けたい褒め方のNG例
1. 条件付きの褒め方
「○○ができたら褒めてあげる」という条件付きの褒め方は、外発的動機に頼ることになり、本当のやる気を削いでしまいます。
2. 過度な褒め言葉
毎回「天才!」「素晴らしい!」と大げさに褒めすぎると、子どもは褒め言葉に慣れてしまい、効果が薄れてしまいます。
3. 能力を褒める
「頭がいいね」「才能があるね」といった能力に関する褒め方は、失敗を恐れる気持ちを強めてしまう可能性があります。
褒める以外のモチベーション向上法
環境づくり
- 静かで集中できる学習スペースの確保
- 学習に必要な道具を整理整頓
- 家族全員が学習を大切にする雰囲気作り
目標設定のサポート
- 子どもと一緒に現実的な目標を立てる
- 大きな目標を小さなステップに分ける
- 達成した目標を視覚的に記録する
興味関心の引き出し
- 子どもの好奇心を大切にする
- 「なぜ?」「どうして?」の質問を歓迎する
- 日常生活と学習内容を関連づける
まとめ:継続が最も大切
効果的な褒め方は一朝一夕で身につくものではありません。毎日の積み重ねが子どもの学習意欲を育てていきます。完璧を求めすぎず、保護者自身も試行錯誤しながら、子どもと一緒に成長していく気持ちを大切にしましょう。
子どもが勉強を通じて得るのは、知識だけではありません。努力する喜び、成長する実感、そして自分を信じる力です。適切な褒め方を通じて、子どもの可能性を最大限に引き出してあげてください。
この記事が参考になったら、ぜひ実践してみて、お子さんの変化を観察してみてくださいね。

この記事を書いた人
猪股義人先生
知多半島出身で学生時代から塾講師を始めて以来、塾業界一筋。「児童・生徒さんや保護者様お一人ひとりに対して全力で向き合う」をモットーに、自分自身も一緒に成長していけるよう妥協せずに最善の道を見つけ出す。どんな些細な悩み事でもかまいません。お気軽にご相談ください。
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