2025.07.02
なぜ小中学生は帰宅後すぐに勉強した方が良いのか?
はじめに
「宿題は後でやる」「まずは休憩してから」そんな声を聞くことがありますが、実は帰宅後すぐに勉強を始めることには、子どもさんの学習効果を大きく向上させる理由があります。今回は、なぜ帰宅後すぐの学習が効果的なのか、その科学的根拠と実践的なメリットをご紹介します。
1. 記憶の定着効果が最も高い「ゴールデンタイム」
学校で学んだ内容は、時間が経つほど忘れやすくなります。心理学の「エビングハウスの忘却曲線」によると、学習後1時間で約56%、1日後には約74%の内容を忘れてしまいます。
帰宅後すぐに復習することで、まだ記憶が鮮明なうちに知識を定着させることができ、長期記憶への移行が効率的に行われます。
2. 集中力が保たれている状態を活用
学校での授業を通じて、子どもの脳は既に「学習モード」に入っています。この集中状態を維持したまま家庭学習に移行することで、改めて集中力を高める必要がなく、スムーズに学習に取り組めます。
一度リラックスモードに入ってしまうと、再び集中状態に戻るのに時間がかかってしまいます。
3. 学習習慣の確立に効果的
毎日同じ時間に学習することで、生活リズムが整い、自然と学習習慣が身に付きます。「帰宅したら勉強」という流れを作ることで、子ども自身が迷わずに行動できるようになります。
習慣化されると、勉強への心理的な負担も軽減され、継続しやすくなります。
4. 疑問点の早期解決
授業で分からなかった部分や疑問に思った点を、記憶が新しいうちに復習・確認できます。時間が経ってしまうと「何が分からなかったのか」さえ忘れてしまうことがありますが、すぐに取り組むことで効率的に理解を深められます。
5. 時間管理能力の向上
帰宅後すぐに学習することで、残りの時間を自由に使えるという時間管理の感覚が養われます。「先にやるべきことを済ませる」という優先順位の付け方も自然と身に付きます。
6. 家族とのコミュニケーションの質向上
宿題を早めに済ませることで、夕食時や就寝前の時間に余裕が生まれ、家族との会話の時間を確保できます。勉強の心配をせずにリラックスして過ごせるため、家庭での時間がより充実します。
実践のポイント
環境を整える
- 勉強しやすい環境を用意する
- 必要な文房具を手の届く場所に配置
- テレビやゲームなどの誘惑を遠ざける
無理のないスケジュール
- 最初は10-15分程度から始める
- 徐々に時間を延ばしていく
- 子どもの体調や疲労度に配慮
達成感を大切に
- 小さな目標を設定し、達成したら褒める
- 学習記録をつけて成長を実感させる
まとめ
帰宅後すぐの学習は、記憶の定着、集中力の維持、習慣化など多くのメリットがあります。ただし、最も大切なのは子どもさん一人ひとりの個性や状況に合わせて、無理のない範囲で実践することです。
継続することで必ず効果が現れますので、まずは短時間から始めて、徐々に習慣として定着させていきましょう。子どもさんの学習効果を最大化するために、ぜひ帰宅後すぐの学習を取り入れてみてください。

この記事を書いた人
猪股義人先生
知多半島出身で学生時代から塾講師を始めて以来、塾業界一筋。「児童・生徒さんや保護者様お一人ひとりに対して全力で向き合う」をモットーに、自分自身も一緒に成長していけるよう妥協せずに最善の道を見つけ出す。どんな些細な悩み事でもかまいません。お気軽にご相談ください。
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