2025.10.16
『国宝』に見るこだわることへの執着
――この世界は親がないのは首がないのと同じや。
けど本当の “芸” は刀や鉄砲よりも強い――
こんにちは。
完全個別指導Good成岩校の田中です。
ついに、というかやっとこさ、観て参りました。
―――――映画『国宝』
何かと話題になっており、評判も聞いていたので、
観たい観たいとずっと思っていたところですが、
遅ればせながら実際観たところ……「刺さり過ぎた」。
任侠の一門に生まれた喜久雄は15歳の時に抗争で父を亡くし、天涯孤独となってしまう。
喜久雄の天性の才能を見抜いた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎は彼を引き取り、喜久雄は思いがけず歌舞伎の世界へ飛び込むことに。
喜久雄は半二郎の跡取り息子・俊介と兄弟のように育てられ、親友として、ライバルとして互いに高めあい、芸に青春を捧げていく。
そんなある日、事故で入院した半二郎が自身の代役に俊介ではなく喜久雄を指名したことから、2人の運命は大きく揺るがされる。
(映画.comより)
一般的な映画のレビューとしてはいったん置いておくとして、
私が一番衝撃を受けたのが「細部へのこだわり」でした。
歌舞伎役者の方もそうですが、所作や首の角度、指先つま先までの緊張感や
観客から見えないであろう微妙な表情や目線まで、
舞台上では徹底的にこだわり抜いてこその演技なのだろうな、と。
それは一朝一夕ではまねできるようなものでなく、
だからこそ血の滲むような稽古や鍛錬の積み重ねが大事なんだろう。
それこそがプロフェッショナルであり、『国宝』たる所以なんだろう、と。
それを演じきった吉沢亮と横浜流星は本当に脱帽。
しかし、もちろん、それだけではそこまで刺さる鋭利さには至らない。
感服したのは、他のキャストの演技のみならず、
舞台装置や小道具大道具、ロケなどのモノ、
カメラワークや場面転換、脚本などの映画作りに関して、
徹底的にこだわり抜いて作品の持つ同一方向の世界観を作っている―
観客が作品に没入し、高評価を得ている理由は枚挙に暇がない。
世界のクロサワこと黒澤明監督は1つのシーンを撮影するのに
天候や役者のコンディションなどを考慮して何日も、何カ月も
タイミングを見計らっていたという。
これはなにも、映画作りに限ったことではない。
生きていくうえで、プロフェッショナルとして仕事をしていくうえで、
自分の目指す目標を見据えて、己の世界観を携えながら
こだわり、こだわり、こだわり抜いた一貫性を持たせることは
日頃から意識して習慣づけなければ、一朝一夕に身につくものではないのだ。
人の心を動かすものは、こうした日々の積み重ねの結晶であり、
それをあらゆる人に提供できる人こそ、
「国宝」つまり、「日本という国が誇る人財」なのだと実感した。
「あなた歌舞伎が憎いんでしょう。それでもいいの、それでもやるの」
そう。生きていくとはこういうことだ。
だったらなおさら、そちら側が「欲しい」と思うくらい、
やりきってやろう。
そう思えた映画でした。

この記事を書いた人
田中俊晃先生
成岩小、成岩中を卒業し、地元半田から次世代を育成することで故郷に恩返しをしたいと考え指導にあたる。気さくで話しかけやすい雰囲気・教室づくりで、生徒・保護者からの相談や質問が絶えない。成績アップの向こう側にある人間力の育成をモットーに生徒に寄り添う。デザイナー兼イラストレーターの経験を持ち、Good・EISUの広報を担当。好きなアーティストはミュシャやクリムトなど。
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